いまのSEOにはアート思考が足りていない

SEOとアート思考

【要約】
情報に対する需要は、情報を知りたい→正解だけを知りたい→実行して欲しい→アート思考と変化しているが、SEOではまだまだアート思考に基づいたコンテンツは少なく、そこに勝機がある。

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情報の需要は時代と共に変わって行きます。

例えば2000年代は情報がインターネットを通じて人々に一気に広がり始めた時代でした。この時代は情報にリーチできると言うだけで大きな価値がありました。この時代までは世に知られていない情報が多かったのです。

2010年代には多くの企業が資本の力で情報を拡散した時代でした。組織的に行われ、情報が「量産された」時代でした。

情報の需要、変わりすぎ

さてこうして情報過多の時代に突入すると、次は情報に対する需要に変化が現れます。「情報はもう十分得られる」「いつでも得られる」となります。そして2つの需要に変化して行きます。

  1. どの情報を信じれば良いか「正解」がわからない
  2. 情報に接しすぎて賢くはなったが行動に移せない

はい、これを読んでいるあなた。このどちらか、あるいは両方の状況になっていませんか?

今の時代、情報それ自体の価値は大きくデフレしています。代わりに次の2つの価値が見出されています。

  1. 上記の1. に対して「正解」を選んであげること、そして正解以外の情報を捨ててあげること
  2. 上記の2. に対して代わりにやってあげること

今の時代の情報発信にはこの2つが足りていません。みんな「情報を発信する」まではやります。ですが「正解はこれです」「他の情報は一切見なくて良いのです」と言い切ってあげることはまだまだ少ない。

SEOでは対応できずSNSに人が移る形に

少し近いのがインスタグラムなどに代表されるSNSですね。情報をかなり絞り込んで「これ1つで○○できる」といった発信。これは今の時代の理に適っています。あとは2000年代後半から流行ったキュレーションですね。これも需要が引き続き大きい。ですがまだまだ少ないのが現状です。

そしてもう1つ、「できないなら私たちが代わりにやってあげます」あるいは「やる気がないならやる気が出るように背中を押してあげます」「スパルタで指導してあげます」と言うふうなサービスに持っていくのも相当な需要があります。

ちょっと脱線しますけど、一時期私がやっていたのは「スケジュールを強引に実行させることに特化したスパルタ秘書業」のプロデュースでした。色々あって辞めましたがかなりの数の依頼を頂きました。反響すごかったんですよ。

その他の情報需要の変化

情報の需要は他にも色々と変化しています。例えば

  1. コミュニティへの帰属
  2. 情報をエンターテインメント化させたもの、刺激の強化

などですね。

1. は情報を追い求めそのまま特定のコミュニティに行き着き、そのコミュニティ内で情報を獲得し続ける現象。これはオンラインサロンが代表例です。他にも欧米などではブログがコミュニティになっています。例えばWordPressプラグインのDisqusにアカウントを作り、話題となった記事のコメント欄で議論するのは昔からよく行われています。日本ではこのようなやり方は見かけませんね。

2. はいわゆる情報商材ジプシー(英語で言うとOpportunity Seeking)に近いかな。情報それ自体がどうこうと言うより、まだ見ぬ驚くような情報を得ることに快感を覚える現象などです。情報商材と少し毛色は違いますがTiktokに代表される秒単位でカットが素早く変わっていくショート動画を連続で見せる仕様もこの需要を狙ったものですね。

といった感じで情報を得るだけの状態から、その先の何かへ辿り着きたい需要へと変化しているのが現状なのです。

今のSEOではあまりこの辺りは対応できていないなと感じますね。SEO向けのコンテンツでできなかった部分を見事にインスタやTiktok、Youtubeなどがキャッチした状態です。

コンサルティングの業界が先を行く理由

さて、戦略系や経営のコンサルティング業界も何十年も前にこの状態を先取りしています。情報発信のその先を占う意味で少し触れてみましょう。

まずコンサルは乱暴に言えば、かつて「知識を授ける」が主な仕事でした。ですが当然、経営企画部など内製でもリサーチや分析、戦略立案などができるようになり、ロジックもやがては各社に浸透してきます。

その次、2000年代頃から「代わりにやってあげる」需要が伸びてきました。自分達で分析や戦略立案などはできても、実行に対しては支援が必要な企業が多く存在したからです。2000年代は私も学生だったのでコンサルティングの業界のことを調べたりOBOG訪問で話を聞いたりしていましたが、まさにこの時代でした。よく「川下への伴走」などのフレーズが当時は見られました。

アート思考が重要に

戦略も実行もフラット化しコモディティ化した…という課題が見え始めたのが2010年代。

そこで浮上してきたのが「アート思考」とか「デザイン思考」です。これまで左脳型のロジックガチガチの仕事から、右脳型の要素が差別化に繋がることが提唱され始めました。斜め上の発想力だったり世界観などと従来のロジカルシンキングを並行することが問題解決において重要になってきているということ。

事実、2010年代には戦略コンサルティング各社がデザイナーの雇用を急速に進めた時代でした。私の知り合いのウェブデザイナーの著名人もマッキンゼーやBCGなどに転職していったのを聞いています。東大も2020年からデザイン思考人材の育成を開始しました。

とても駆け足で乱雑ですが、情報を扱う急先鋒のコンサルティング業界を取り上げました。まるで守破離の流れそのものです。

ここから何を学べるか?それは第一に、情報がコモディティ化した先には実行支援が必要とされること。第二に、そのさらに先ではアート思考とロジカル思考を同時並走することが突破口となっていること、です。

SEOにはアート思考が足りない

ここでウェブのコンテンツに立ち返ってみますと、SNSはアート思考を駆使したようなタイプの人材が少なからずいます。それでもまだ少ないと思います。まだまだ型にハマったような発信が主流かなと。

そしてSEO。

これはもっともっとアート思考の入り込む余地だらけです。

なぜならそもそもの成り立ちとして「辞書型コンテンツ」だとか「網羅性を重視」のような思想の元にコンテンツが作られてきた世界だから。

型通りにコンテンツを量産することで成功体験たり得た時代も長かっただけに、アート思考っぽいものに対してある種のアレルギーを持つコンテンツクリエイターはSEO業界には少なくない。

ですけど、コンサルの現場で感じるのは、検索エンジンは既にそのようなテンプレート通りのコンテンツ以外のものを評価する動きが見られるということ。

特にRankbrainなどのAIをGoogleが起用し始めてからはなおさら感じます。どう見ても記事構造などがセオリー通りではないのになぜか難関キーワードで上位だったり、検索流入を大きく稼いでいるサイトが散見されるようになっています。

ドメイン評価は大したことがないのですが、いわゆるアートなサイトや記事が目立ち、話題となり、被リンク獲得や検索順位上昇などに繋がっているケースですね。旧来型のお堅いメディアではなく、やはり若手のちょっと破天荒なタイプのメディアなどは比較的多いかなと感じます。

それらに共通していると私が(あくまで私が)感じる要素はざっくり次の通り。

SEO × アート思考は「型を破ること」

  1. 個人的な意見に偏っている、好き嫌いをはっきり表明している
  2. 一次情報が豊富である
  3. オリジナル要素が豊富である
  4. ビジュアル要素が豊富である
  5. 企画がよく練られている、他にない企画を行なっている
  6. 結果的にこれが目立つことでウェブ上でのプレゼンスに繋がっている

他にもありますがこのようなものですね。

1. は文字通りですが、かつては個人の「色」を出すことはNGとされていました。特に好きとか嫌いとかの観点を軸に記事を書いていくのはSEOの現場ではあまり好まれませんでした。だからこそ、今そのような「偏り」が求められているという現状があります。大昔はこれが逆で、情報が世の中にまだ少なく、散らかっていたため、それらを体系的にまとめて辞書のように網羅してくれるコンテンツが求められていました。

2. はウェブ上の情報を漁ってまとめるだけのいわゆる「コタツ記事」の蔓延を受けて、一次情報を自ら足で稼ぐことでより一歩踏み込んだ価値を提供できるからです。

3. も近しいのですが、他のサイトやページにはない独自の情報なり切り口なり世界観を「強めに」入れていくことで目立つんですね。ウェブで目立つと話題になります。この「話題になること」が結構大事で、被リンクやサイテーション、UGC獲得に繋がります。

4. はある意味簡単です。ウェブデザインを華美なものにしようとか、一時期流行ったようにキャラクターを置くとかそう言うことではないですよ。例えば何かをレビューするなら自分で現物を買ってきて写真を撮る。現地に行って動画を撮る。図解を作成する。表やグラフなど可視化する。こういった「文字ではなく絵面で伝える」工夫はまだまだ多くのコンテンツがなし得ていません。そしてヒートマップで見た時にとてもよく読まれているのが分かると思います。

5. これは例えば「おしり拭き」についての記事を書くとしましょう。その場合、「おしり拭きとは?」「おしり拭きのおすすめ製品」のような企画だとありきたりです。どんな会社のライターマニュアルにも載っていることです。そこにプラスして「おしり拭きで何でも拭けるって本当?色々こぼして吹いてみた」のような企画を立てると言うことです。

絵のインパクトも内容のインパクトもありますし、これで「結論:おしり拭きは本当に何でも拭けることがわかりました」「今回撮影に使った中で最も拭きやすかったのはこちら」といった形で製品レビューにつなげることも出来ます。これはあくまで私の思いつきの例。でもこれがまたSEOで上位を取りやすいんですよ。このレベルの企画か、それ以上をポンポンと作っていくことが今後のSEOでは求められます。

6. は1. 〜5. の結果論ですが、総じてウェブ上で目立つ、存在に気づいてもらう、その上でターゲットの課題解決を行う。それが今のSEOに求められる形態の1つかなと感じます。だって上がるんだもん。労力も使いますけどね。

以上です。

勘違いして欲しくないのは、アート思考の重要度が情報発信において上がってきたと言う話ということ。ロジック不要ってわけじゃないのです。むしろロジックは十分積んだ上で、アート思考をオンしないといけない。だからSEOでは網羅型の構造ガチガチの記事をアート思考でいかに濃く味付けするか、みたいな発想が求められるということなのです。

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