「VSO」音声検索の最適化(Voice Search Optimization)が少しずつ盛り上がってきました。
ですが音声検索の最適化の対策についてどのぐらいご存じでしょうか?
デジタル関連のマーケティングやデジタル広告に関わる人でも、
じつは音声検索についてまだ不透明な部分は多いでしょう。
音声検索の最適化を行うには、検索エンジンや音声検索アシスタントデバイスなどが、
どのようにユーザーに音声検索体験を提供しているかを知るところから始まります。
音声検索とは
そもそも音声検索とは、文字通りスマホにキーワード、キーフレーズを語りかけると検索できるという機能です。現在はAmazon EchoやGoogle Homeなど音声アシスタントデバイスを使った検索も可能。
音声検索は別の名を会話型検索と言い、会話型検索最適化の事をConversational Search Optimization(CSO)とも言います。欧米を中心に普及し始めており、日本でも広がりを少しずつ見せています。
その音声検索は今後、従来のテキスト検索と対を成すものとなると見られています。
現在、サイトのアクセス数をPC対モバイルで比較する事がありますよね。将来的にはテキスト検索vs音声検索という比較もされるようになるでしょう。ゆくゆくはインターフェイスとして音声検索の数が上回る可能性は高いかと思います。
ではその音声検索に対する最適化とはどのようなものでしょうか。
音声検索最適化(VSO)の方法・手順
音声検索の最適化、VSOの具体的な方法とは、次の通り。
- ローカル検索の最適化
- モバイルフレンドリーへ対応する
- 音声検索キーワードを推測する
- 音声アシスタントデバイスの仕様を理解する
- 音声検索がなされるシーンを知る
一つずつ見ていきましょう。
1.ローカル検索最適化
音声検索と言えば、今の段階ではほぼ「ローカル検索」です。ローカル検索とは特定の店舗や特定のエリアについて知りたい時に行う検索の事をまとめてそう呼んでいます。
例えば「新宿駅 イタリアン」といったキーワードで新宿のイタリアンのお店がどこにあるかを調べるような検索行為を指します。
現在、音声検索のTVCMなどでもよく描かれる光景です。音声で検索している対象の多くが飲食店とか、何かの場所についての情報です。
だから現状、音声検索の対策とは、ほぼ「ローカル検索最適化=ローカルSEO」です。これから音声検索の用途も年を追うごとに増えていくでしょうが、今のところはこれで十分です。
具体的なローカル検索の最適化とは以下のようなものです。
- Googleマイビジネスの最適化
- titleタグやhタグに地名キーワードを記入
- NAPの統一
- ランディングページ
- 地名入りリンク
- 構造化データ
NAP(ナップ、エヌエーピー)とは「Name(名前)、Address(住所)、Phone(電話番号)」の事。
2.モバイルフレンドリーへ対応する
音声検索は以下の3つで行われる事が想定されます。
- モバイル(スマホ)
- Amazon EchoやGoogle Homeと言った音声アシスタントデバイス
- Amazon Alexa、Google Assistantなどを搭載したIoT端末
このうちウェブサイトを運用し、音声検索最適化によってトラフィックを獲得したいとします。その場合モバイル、スマホでの利用を今や大前提です。
スマホ向けページ作成、もしくはレスポンシブウェブデザイン対応
可能な限りレスポンシブウェブデザインの方が1つのURLで可能なためおすすめです。
アノテーション
これはスマホ向けページとPC向けページが別々のURLである場合の紐づけの事です。今や大半のウェブページが対応しています。ですがまだでしたら必ず実装して下さい。これができれば、PC向けページが先に作成されている場合、PC向けページへの外部リンクや、PC向けページのコンテンツ、内部リンク構造など、検索エンジンの評価をそのままスマホ向けページに移せる可能性が高いのです。
スマホ向けページのUX(ユーザー体験)の向上
UX観点からは、PC向けページと比べてスマホ向けページでは、コンテンツや内部リンクをどこまで省略するかを検討する必要があります。
スマホ向けページではメインコンテンツも内部リンクも全て残します。同時にCSS(JSではなく)で折りたたむ、非表示にしておく事が望ましいです。
ページの表示速度の向上
これも広義には上記のUX観点となるが、表示速度は速いに越したことはありません。
- Page Speed Insights…Googleの提供する表示速度計測ツール
- Test My Site…これもGoogle純正の表示速度計測ツール
- AMP(Accelerated Mobile Pages)…ウェブキャッシュを使った高速化ページを表示するウェブページの構築手法
- PWA(Progressive Web Apps)…あらかじめ必要な情報を通信する事で高速化を図る手法
これらの手法も今では日本語の公式ドキュメントが増えている事もあり、敷居は低まっています。
3.音声検索キーワードを推測する
まず現時点で、音声検索について、Google Search ConsoleやGoogle Analyticsなどで、音声検索分析の機能を提供できていません。
従って、音声検索を辿ってやってきたトラフィックなのかは、検索キーワードを見ながら、ある程度推測するしかないのが現状です。
ではどうやって推測するのか?
音声検索は質問文化しやすい
音声検索時のフレーズは従来のPCやスマホの検索エンジンを使った検索とは少し異なります。
従来の検索のやり方は単語を羅列する事が主流でした。音声検索キーワードの特徴は文章型、それも質問文の形を取る事が多い点にあります。
例えば従来型の検索キーワードが「新宿駅 イタリアン」だとしましょう。
音声検索キーワードは「新宿駅のイタリアンのおすすめを教えて」とか、「ここから新宿駅までの距離は?」というものになりえます。
現に私自身、Google Analyticsなどを分析していても、そういった文章、会話型キーワードで流入してくる人の数が、微妙に最近増えて来ています。
「白いスニーカーのおすすめは何?」みたいな長文で口語体の検索キーワードがじわじわと。(Google Search ConsoleやGoogle Analyticsで探してみよう)
音声検索キーワードの例
音声検索かも知れない検索キーワードは次のようなフレーズを含みます。
- ~は何?いつ?どこ?どうするの?など5W1Hを含むもの
- ~を教えて
- ~を見せて
- ~ですか
など。
あとは逆にちょっと長い検索キーワードなら音声検索と見ても良いかも知れません。例えば「結婚式の2次会に行く時の服装」とか。
東京駅までの行き方を調べるのに、TVCMでやる音声検索のように「ここから東京駅までの行き方」と言う人もいるでしょう。
「東京駅にどうやって行くの?」とか「東京駅への行き方を知りたい」もありえます。今の音声検索はやり方が確立されていないため、かなりフリースタイルである可能性もあります。
つまり音声検索かどうかは「長い」「文章型」「口語」かどうかを見て判断する方が良さそうです。Google AnalyticsやGoogle Search Consoleに音声検索の項目が出るまでは。
さて、そんな音声検索キーワードをある程度予測することも可能です。以下に書く様に、音声検索アシスタントデバイスの仕様をある程度知っておくと良いでしょう。音声検索に使われそうなキーワード、フレーズを推測できます。
4.音声アシスタントデバイスの仕様を理解する
音声検索のプラットフォームとしてこれまで携帯端末が主流でした。
ですが急に音声検索アシスタント機器の普及が見られるようになっています。これはAmazon EchoやGoogle Homeといった、主に音声で操作し音声で情報を得る端末です。
(もちろん操作の目的によって別の機器を操作できたりもする)
Amazon Echoのユーザーが急拡大
まずAmazon Echoは2014年の発売以来、800万台を突破したと言う調査もあるほどです。これ、古いデータなので今ではその数倍行ってるはずです。
米国では音声起動型アシスタントデバイスの利用者は約3,650万人以上いる様です。Amazon Echoが音声検索の7割を占めていると言われます。
なお猛追するGoogle Homeでシェアが約2割強程度です。
AmazonのAlexaが音声検索市場のトップ
米国だけの数字とは言えこの数は音声検索や音声操作がいかに早く普及しているかを示しています。特にAmazon Echo、Alexaのシェアと勢いは凄い事になっています。
さらにAmazon Echoが凄いのは、2017年1月開催の世界的なIT・家電見本市であるCESで発表された数。出展されたプロダクトに使用された音声アシスタントの多く(700件超)はAppleやGoogleではないのです。AmazonのAlexaであったと言う事です。
このようにAmazon Echoシリーズがすでに音声アシスタントデバイス市場の7割を獲得しています。こいつがとにかく凄い。破竹と言える勢いでシェアを撮り続けています。
従って音声検索の在り方もAmazon Echo、Alexaに引っ張られる可能性があります。もう少し具体的に説明します。
AlexaとはAmazonのクラウドベースAIアシスタントのことです。
主に音声アシスタントデバイスであるAmazon Echoシリーズに使われています。
Alexaの音声コマンド「スキル」
Amazon Alexaには「スキル」と言う音声コマンドのようなものがあります。
スキルはサードパーティのデベロッパーが「Alexa Skills Marketplace」という、
AndroidやiOSなどで言うアプリストアのようなプラットフォームに開発・登録できります。
これが2017年7月現在で約15,000件が登録され、爆発的に増加中です。
このスキルですが、音声アシスタントにしゃべりかける単語を指定することで、
特定のアクションを引き出すもの。
これらは以下の順で1つのフレーズとして登録します。
一概には言えませんが、大まかなよくある「スキル」の例を挙げてみます。
ウェイクワード
これは「Alexa,」と呼びかけスキルを開始するためのもの。
スターティングフレーズ
「Begin(~を始めて)」「Launch(~を立ち上げて)」「Open(~を開いて)」などを指す。
インヴォケーションネーム
これはスキルを呼び出し発動させるための単語。
Alexaにして欲しい行動
呼び出したスキルに具体的にどんな行動させたいか、リクエストします。
例えば、
「Alexa, Open Daily Horoscopes」
(今日の星座占いを開いて)
などになります。
(これはインヴォケーションネームまで登録した場合の例)
Amazon Alexa スキルのStarting Phrases例
以下のフレーズがAlexaのスキルを始めるためのStarting Phraseとされています。
音声検索もユーザーがこれらのStarting Phraseを含むものからつい始めてしまう事になるかも知れません。
- Ask(~に聞いて)
- Begin(~を始めて)
- Do(~をして)
- Launch(~を立ち上げて)
- Load(~を読み込んで)
- Open(~を開いて)
- Play(~で遊んで)
- Play the game(~のゲームで遊んで)
- Resume(~を再開して)
- Run(~を実行して)
- Start(~を始めて)
- Start playing(~で遊ぶのを始めて)
- Start playing the game(~のゲームで遊ぶのを始めて)
- Talk to(~に話しかけて)
- Tell(~に伝えて)
- Use(~を使って)
Alexaのその他の詳細なスキルの開発に関しては割愛するが、
AmazonのAlexaのスキルは上記の様に、自然な会話になるようなフレーズを使う事が指定されています。
つまり、近い将来、音声アシスタントの利用者はこうした特定の会話フレーズを使うことが定着する可能性が高いです。
音声アシスタントで最も多い用途は検索である
そして、こうした音声検索プラットフォームの用途として最も多いのは質問だと言います。
つまり音声アシスタントは何かを調べたり検索する用途が多いのです。
その場合の検索キーワードは、上記のスターティングフレーズでいえば「~を教えて(tell)」が将来的に定着しそうです。
Google Search Consoleで見られた「近くのピザ屋を教えて」「鎌倉のお土産に何を買えばいいか教えて」と言った検索キーワードが音声検索である可能性があります。
このように、音声アシスタントデバイスの台頭が、音声検索のルールや文化を決める可能性があるのです。マーケッターや代理店は理解をしておいた方が良いでしょう。
5.音声検索がなされるシーンを知る
最後に、音声検索の場合、現状とても「パーソナルな検索」だという事も理解しておきましょう。「プライベート感が強い検索」と言い換えても差し支えありません。
人ごみのど真ん中でスマホを使って音声検索をするより、部屋の中や車の中でこっそり行う方が現時点では大きな用途でしょう。
Amazon EchoやGoogle Homeは部屋の中で音声操作をする事を想定したデバイスです。自動車メーカーのFordはAmazonのAlexaを搭載。ヒュンダイはGoogle Assistantの搭載を予定しています。
日本ではなぜ音声検索が普及しないか?
ちなみに日本で音声検索が今一つ欧米と比べて普及していないのはなぜでしょうか。
音声検索の精度とかよりも、人前で音声検索する事自体が恥ずかしいからです。または音声検索を行うと自分の調べたい事が周囲に伝わってしまうから。
そういった恥じらいのような感情が多分に影響しているのではないでしょうか。
(少なくとも自分はそう。笑)
Amazon EchoやGoogle Homeなどの音声検索アシスタントデバイスや各種IoTデバイスの日本の発売、普及が待たれます。当面は部屋の中や車中という限られたシーンでの音声検索を想定する必要がありそうです。
ただし、そういった音声検索のプライベート志向も、5-10年程度たてば大きく変わるとも考えられます。音声検索に抵抗のない世代が育つからです。
日本でどこまで音声検索が普及するかわかりません。ですが少なくとも文字入力が必要な従来型の検索に比べ、音声検索は「早い検索」なので便利です。便利なものはいずれスタンダードになります。
いかがでしょうか。音声検索への理解を深め、音声検索の最適化(VSO)を成功させましょう。
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