ねえねえSEOってさ、こんなに複雑だったっけ…?
と言いたくなるほど、年々手法がカオス化していくSEO。そんなカオティックなSEOの、2021年に重要な考え方をさくっと解説します。
2020年のSEO上半期編や2020のSEO下半期編では長々と書きましたが、おかげで私の考え方が随分と賛否をもって広まったようです。ですのでこの記事ではもう少しライトな内容にしております。
SEOコンサルティング会社や企業のインハウスSEO担当者、あと個人のブロガーさんなどが対象です。
参考:SEO予測記事
2020年後半のSEOまとめ
2020年前半のSEOまとめ
2019年のSEOまとめ
2018年のSEOまとめ
2021年のSEO総まとめ
先日、こんなツイートをしました。
これ書くの結構大変だったんですよ。毎年「来年のSEO」みたいなの記事で書いてきましたが、まあ重要な事ってだいたい被リンクとか権威性とかで、そんなに大筋は変わらないので。とは言え今年はちょっと混沌とした年ではありましたし、その影響が2021年に到来しそうではあります。
以下は上記のツイートをテキスト化しつつ、必要っぽい部分は加筆をしました(用語が分からないと言う人がいたりしたので)。画像が良ければツイートを、テキストが良ければこちらをご覧くださいませ。
0.これまで通り変わらず重要な2つ
これは当たり前すぎて上記のツイートでは言及しなかったが、権威性を高める事、および被リンクを集める事の2つは変わらずSEOの最重要項目と言える。従って2021年になってもこの2つを意識したい。また下記でも触れたが、そこに優れたコンテンツを投下できるとSEOではかなり強くなる。
1. 大きな変更が既に2つ予告済み
2020年に予告された検索エンジンの仕様変更のうち、2021年に大きな影響が予想されるものは次の2つ。
- ユーザー体験(ページ体験)
- パッセージのインデックス
いずれも2021年以降に検索ランキングに影響すると考えられる。ただし結論として両者ともに特別な事をする必要は無い。SEOを目的とした施策になる事が無い様に気を付けたい。
1-1. ユーザー体験(ページ体験)
これはユーザーに対して特別な価値を付加すると言うより、テキスト中心だったり装飾の少ないメディアなどはこの要素で差がつきにくい。ユーザーが期待した出来るはずの挙動が出来ない場合にユーザーをがっかりさせる事を防ぐための指標として考える方が良い。
その為、ページ体験のスコアがランキングシグナルとして使われる様になった場合、順位上昇するケースよりも平均を大きく下回る様なコンテンツほど影響が出る可能性がある。
注記…ページ体験(ページエクスペリエンス)のランキングシグナルは2021年5月ローンチ。
1-2. パッセージのインデックス
こちらの情報のまとめ方に限らず検索ユーザーの求める情報のみが抽出される可能性がある。具体的にどの様にGoogleがパッセージを検索結果で使用するか、事例が複数観測されてから必要に応じて考えるぐらいで十分と考えられる。本件は続報がかなり出ており、またSEO業界全体も何となく右往左往しているため、正確な情報が改めて公式に語られるまでは固唾を飲んで見守るぐらいでちょうど良さそう。
2. 2021年もコンテンツに集中しよう
2021年になっても結局はコンテンツが最重要という点は変わらない。
また年々強まる傾向として、コンテンツを磨く努力だけでなく、周知の通りコンテンツを広める努力もSEOでは必要になっている。
元来コンテンツを広めるためのSEOのはずだが、今やSEO1本での集客は効率が下がり続けている。そのためSEOから始める前にまずSNSなどから集客を開始する線も検討されたい。
SNSではとにかくジャンルを絞り、「○○の人」としていかに早く沢山の人に覚えて貰うかが大事。
3. 改めて3Cの把握を徹底する
3Cとは経営などで戦略立案の際に使われる基礎的なフレームワーク。これをSEOに当てはめると、1. 自サイト、2. 競合サイト、3. 検索ユーザーと定義付け出来る。
重要な事として、意外とSEO担当者にとって3C全てを把握出来ている人は少ないと言う事。自社サイトのステータスは常時把握していても競合サイトはそこまで見ていなかったり、その逆もあるし、検索ユーザーの動向を細かく見ていない、などもある。
完璧は無理だとしても、3つ全てを常時穴の開くほど観察し、自分が世界一番詳しいと自負できるレベルを目指してみよう。
自サイトと競合の集客経路、全コンテンツの過去の変容、検索順位、被リンクや更にその被リンクの文脈などをスラスラと言えるか?色々なSEOツールやWayback Machine、Similarwebなどで自サイトと競合サイトを見まくっているか?
検索ユーザーが何で困って何を常に調べていて、それはSNSで言えばどの様な層の人たちか空で答えられるか?その人達の中に飛び込んでいったり、自ら話題を作りに行くレベルの関わり方が出来ているか?
これら3Cを細かく分かっているとどうなるかと言うと、次にどの様なコンテンツを作れば良いかがとても鮮明に見えてくると言う事。そしてそう言った視点がSEOだけでなくSNSなどの投稿でもバズりやすくなるなどの副産物が多い事。
なお、私の周りでも結果を出している人は往々にして、競合や顧客層について語らせたら止まらない程、一家言あると言う人ばかり。常に競合と顧客をリサーチしてばかりいる様な人達。結果は出るべくして出るものだと思い知らされている。
4. 検索サービスは成熟期、と心得る
現在の検索エンジンは基本的にレイトマジョリティやラガードをターゲットとする成熟期に差し掛かっていると言える。これは検索広告の伸び率の鈍化からも明らか。従って成熟期のプラットフォームに向けたコンテンツ需要を読む必要がある。
まず現状はテキストを中心としたウェブページの検索が中心となっており、今後はテキスト以外の画像や動画、ライブ配信などの検索需要もより増えて来る。
更にここ最近では音声コンテンツも話題になっているが、Podcastは検索結果に既に表示される。正確にはGoogleの提供するGoogleポッドキャストがインデックスされ表示されている。
成熟期は差別化が重要でもあるため、動画専門の検索エンジンや音声専門の検索エンジンなどが広まってもおかしくはないほど(例えば音声専門なら既にListen Notesなどのサービスがある)。
従って2021年には動画、音声などのコンテンツをある程度作って撒いておく、効果検証に慣れておく、競合より先に知見をためておく、と言った辺りに着手出来ると良い。今すぐは難しくとも「2021年になったらやりましょう」と今のタイミングであれば社内に喚起する事はやりやすいはず。
5. 突発的な機能停止に対応する
2020年10月にGoogleがGoogle Search Consoleの突発的なインデックスリクエスト機能の停止を公表した。理由は明示されていない様だが、個人的には米大統領選関連のスパム排除が1つの理由ではと邪推している。
個人的な観測範囲ではこのアナウンス以降、一度はインデックスされたページがインデックス削除と復活を繰り返すケースも複数見られた。この事から何かしらDB(データベース)をいじっている可能性もある。
今後もこの様に重要な機能が予告無く停止される可能性はある。情報過多のこの時代、検索エンジンにとってコンテンツは必ずしも無理して大量に仕入れる事は無い。こうなった際のプランBをどれだけ用意しておけるか、SNSなどの経路を持てるかなどは重要。
6. コロナ禍の検索需要の変化を知る
外出をしにくくなった分オンラインの利用が増えたケースが散見される。
中でもDoクエリ(日本ではBuyクエリなる言い回しもあるがここでは便宜上Doに含む)に相当する購買行動やKnowクエリに相当する調べ物については大きく変わっている可能性がある。
コロナ禍で新たに出現したサービス、イベント、商品などのキーワードはアンテナを張り続けたい。
これらはテレビ、雑誌などのマスメディアだけでなくSNS上のターゲット層の会話などに網を張っていないとすぐには気づけない。
またGoogle Search Consoleなどで隙間のキーワードを探す、キーワード需要の変化や新語などの需要にコンテンツがヒットしていないかのフィールドワークから気づきを得る事ができる。なおキーワードプランナーや検索結果サジェストなど過去データからの引用が大半を占めるものだけでは気づきにくいので注意。
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